2014年東京都からUターン
家族構成:夫婦・子ども1人(1歳)
職業:マンゴー農家
いつか島に戻りたい
沖永良部高校卒業後、大阪の建築専門学校へ進学したのですが、父親が家業の建設業を廃業したため、専門学校を1年半で中退しました。その後、興味があった美容専門学校へ進み卒業後は、渋谷のセレクトショップで働いていました。都会生活を楽しく送っていたのですが・・・。
祖母の葬式で島に帰った24歳の時に、親が急に老けたなと感じ、「いつか島に戻りたい」と両親に伝えました。
マンゴーづくりをやりたい
1年後の2014年に島に戻りました。帰ってしばらくしてから両親に「マンゴーづくりをやりたい」と話すと、「マンゴーづくりをなめるな」と父親に言われたのを今でも覚えています。
あれから4年、両親と一緒にマンゴーづくりをやっています。
父親は、あーしろ、こーしろと言うこともなく黙々とやるタイプなので、最初は父親のやり方を見よう見まねでやっていました。
9月から翌年6月までの10カ月間は、7月中旬から8月中旬の1カ月間の収穫に向けて管理作業を行っています。
土づくりから始まり、マンゴーの実が太陽の光を均等に浴びられるように苗木の高さを揃える作業、受粉しやすいように花つり作業、何百個と付いた実から余分な実を摘み取る摘果作業など、教えてもらうことばかりです。特に摘果作業は難しく、自分はまだやらせてもらえません。
マンゴーと向き合う父親の姿
親から学ぶことが、まだまだたくさんあります。父親は朝早くから暑い昼間も汗だくになって働いています。自分の方が、父親より体力があるはずなのに、同じ仕事量をこなせていません。そこまでやらないといけないのかと思いますが、そこまでやるからおいしいマンゴーを作り続けられていると思います。
マンゴーと向き合う姿勢を父親から学べたのは、早めに島に帰ってきてよかったと心から思います。
父親の仕事に対する愚直な姿は、仕事以外の部分にもつながっていると身近にいて感じることがあります。
PR活動、ブランドづくりに注力したい
お客様は、リピーターさんがほとんどです。10年近くお付き合いをしているお客様もいらっしゃいます。ありがたいことに、お客様からの紹介でお客様が増えてきている状況です。はがきや電話で「美味しかった」とお客様の声を聞くと、来年も頑張って美味しいマンゴーを作ろうと励みになります。
一方で、お客様が高齢化しているので、これからの10年を考えると、PR活動、販路拡大はマストだと思っていて、これまでできてなかったPR活動にも注力して、ブランドづくりをしたいと考えています。
ブランドづくりの一貫で、今年の5月にかごしまの農林水産物認証制度「K-GAP」を取得しました。
いいものを作っている自信があるので、それなりのプライスで販売できたらと思っています。チャンスがあれば、都市部での物産展などのイベントにも参加していきたいです。
和泊町のふるさと納税の返礼品にも声を掛けていただき、エントリーしました。返礼品人気ランキングを見るのが楽しみです。
*K-GAP:安心と安全に関する一定の基準に基づき審査・認証機関が認証する鹿児島県独自の認証制度
トントン拍子の展開にびっくり
島に戻って2カ月後に、休暇で島に帰ってきていた妻と知り合いました。1年半くらいの遠距離恋愛を経て26歳で結婚、1年後に子どもが生まれました。トントン拍子の展開に自分自身がびっくりしています。農家の息子の嫁さん探しが難しいと言われている中、ほんとにラッキーでした。
知り合った頃、島に帰る気がなかった妻を1年掛けて口説きました。妻に言わせるとアプローチがすごかったらしいです。
徐々に同年代がUターンしてきていて、同級生をはじめ子育ての仲間ができ、親子での交流が増えてます。何よりも両親の近くで子育てができる環境はありがたいです。
子どもは励み
2017年、ハウスを10棟増設し120本のアーウィンマンゴーを植付けました。この10棟のハウスは、自分の責任でやることになりました。
お客様に喜んでもらえるマンゴーを収穫できるように、両親から学んだことを生かす機会だと思う一方で、責任を強く感じています。
妻も頑張っていて、母親がやっている事務関係を手伝っています。SNSでの情報発信、新たなパンフレット作りなど、PR活動は主に妻がやっています。
11月には2人目が産まれるので、子どもたちに何かを残せるように頑張りたいと思っています。